親に対するモヤモヤが消えへんのって「なかったことにされてるから」なんやで論。

withonlineで65回目の連載がアップされました。

 

今回は「やり切っていない恋愛ほど執着する」をテーマに執筆いたしました。

 

 

コラムの中でも触れていますが、基本的にやり切っていない物事ほど悔いが残りやすく、執着しやすいんですね。

 

では、どういう状態がやり切っていないのかというと、下記のようになります。

 

    • 気が済むまでやっていない
    • 「怖い」と思うことから逃げた
    • 自分の中で折り合いがついていない

 

この3つが重なれば重なるほど、その物事に対して悔いが残りやすく執着しやすいといっていいでしょう。

 

    • 自分をまったく出せなかった恋愛
    • 志半ばに挫折した夢
    • 言い訳しながら全力で取り組まなかった仕事
    • 親に言われて諦めた目標
    • 逆らうことができなかった人間に対する恐怖

 

などなど。

 

執着にいろいろな種類がありますが、今もまだ引きずっていたりモヤモヤが解消されていなかったりする物事に関しては、どれだけ認めたくなくてもきっちり執着しています。

 

その中でも根深いのが「親との関係」

 

    • 毒親というわけではないし普通に話せる関係だけど、親に対してモヤモヤすることがある。
    • 昔はいろいろあったけど、今は良好な関係を築いている。でも親に対してモヤモヤすることがある。
    • 話しても分かってもらえないからもう諦めた。でもやっぱり親に対してモヤモヤすることがある。

 

カウンセリングをしている中でも、こういった複雑な気持ちを親に抱いている方は結構多いです。

 

今回のブログは「親との確執」をテーマに、「自分の中で折り合いがついていない理由」を掘り下げてお話したいと思います。

 

今さらだけど毒親ってどういうもの?

毒親という言葉が世間に浸透してもう何年も経ちますが、この言葉が広まったきっかけはスーザン・フォワードの著書「毒になる親」が発端のようです。

 

じゃあこの毒親ってどういう定義なのかというと、一般的には「子どもを支配したり傷つけたりして、子どもにとって毒になる親のこと」だと言われています。

 

具体的には、次のような行いを子どもにする親が毒親だといわれていますね。

 

    • 頻繁に暴力をふるう
    • 人格否定まじりの暴言を吐く
    • 子どもに無関心
    • 否定しかせず一切ほめない
    • 子どもに自分の価値観を一方的に押しつける
    • 衣食住の保障がほとんどされていない
    • 性的虐待をする
    • 過干渉で過度な管理をする

 

などなど。

 

勘違いしないでいただきたいのは、これらのどれかに当てはまったら毒親というよりか、子どもが親に対してどう思っているかによって決まるものだと僕は思っています。

 

なので、どれだけ親が「うちはちゃんと子育てした」と言い張っていても、子どもが「うちの親はマジでありえねえ」と許せない気持ちを抱えていたのだとしたら、親の主張は通らないわけです。

 

だって、子どもの思い方や感じ方を親はコントロールできないですからね。

 

もちろん、子どもが精神的に未熟なまま大人になって親を一方的に嫌っているケースもあるので、この場合はまた話しが変わってきます。

 

「お前の親御さん、毒親ちゃうで。お前がただガキでワガママなだけなんやで?」ってことです。

 

意外にもこういったケースは多くて、子どもが一人暮らしをしたり自分が親になったりしてはじめて「両親は愛情を持って育ててくれた」と分かる場合がよくあります。

 

このケースは「両親が共働きで朝から晩まで仕事をしていた」「シングルマザーで生きていくために必死だった」などの背景があり、「親は親で大変だったんだ」と腑に落ちると、気持ちの雪解けが起こる場合が多いですね。

 

子どもがただ精神的に未熟なまま大人になって親を恨んでいるだけなら、毒親という言葉はここまで浸透しなかったはずです。

 

しかしそうじゃなかったら?

 

ここまで読み進められた方の中には、次のような複雑な気持ちを抱えている人もいらっしゃるかもしれませんね。

 

親に対してモヤモヤする気持ちが消えないんだけど・・・。

これは私が未熟ってこと?

うちの親が毒親ってこと?

 

その基準はどうやって判断したらいいのかというと、次にお話させていただきます。

 

親に対するモヤモヤは、ただすねてるだけの場合がある。

親に対するモヤモヤが、自分のせいなのか相手のせいなのかを判別する基準としては、次のどちらかに分かれます。

 

それは、「傷ついた」か「すねている」か

 

どういうことかというと、それがこちらです。

 

「傷ついた」か「すねている」かの違い

傷ついた

    • 気持ちを分かってもらえなかった
    • 酷いことを言われたりされたりした
    • 気持ちを踏みにじられた
    • 存在を否定された
    • 譲れないものや許せないものを侵害された

すねている

    • 自分の思い通りにならなかった
    • 自分の機嫌を取ってほしいときに取ってくれなかった
    • 現実を突きつけられて認めたくなかった
    • 正論を言われたり図星を突かれたりしてむかついた
    • 自分の価値観と相手の価値観が違った

 

とまあこんな感じですが、端的に言うと「傷ついた」に当てはまるのは「自分の気持ち」であり、「すねている」に当てはまるのは「自分の機嫌」です。

 

つまり、自分の思い通りに相手をコントロールしようとすればするほどそれは「ワガママ」になり、その結果に納得ができないほどすねます。

 

たとえばこういう感じで。

 

自分の思い通りにならなかった

    • なんで望み通りにしてくれないの?

自分の機嫌を取ってほしいときに取ってくれなかった

    • なんで機嫌を取ってくれないの?

現実を突きつけられて認めたくなかった

    • なんで逃してくれないの?

正論を言われたり図星を突かれたりしてむかついた

    • なんで都合が悪いことをはっきり言うの?

自分の価値観と相手の価値観が違った

    • なんで自分が思うようにあなたも思ってくれないの?

 

もちろん、どんな人にでもワガママな自分は大なり小なりいるものですが、自分で自分の機嫌を取れず、相手や状況次第で機嫌が悪くなる人ほどすねやすいといえるでしょう。

 

これに該当する人は、相手のせいばかりにして自分を省みることがないので、だからいつまで経っても身体と年齢が大人だけで中身は「ガキ」なんですよ。

 

あの国民的人気をほこる名探偵の子どもと逆というわけです。

 

されたことが酷すぎると、いくら相手が親でも許せるわけがない。

先日、親との確執を赤裸々に語った若井おさむさんのインタビュー記事がネット上で公開され、話題になりました。

 

 

まさしく壮絶体験とはこのことだと思いましたが、「人は話せば分かってくれる」という幻想が一瞬にして消える内容です。

 

現実は「世の中には一定数、話しても分からない・分かってくれない人がいる」なんですよね。

 

若井さんは、記事中でこう語られています。

 

あるとき、「お前が中学くらいまでビシバシにしばいたりしていたのは、全部母さんに言われてやったことなんや」と(父親に)言われました。「いやいやいや、それはないだろう、オレは親からされてきたことを一生忘れへんゾ」と口まで出かかったけど、かろうじて飲み込みました。

 

「もうあんな母親とは縁を切ります」と言うと、「血が繋がっているのだから、そんなこと言わずにがんばりなさい」と(親戚に)励まされてしまった。口では「はい」と答えたものの、そんなのもう無理やと思っていました。

 

どこかのカウンセラーが書いた記事の中には、「親を許しましょう」なんて書いてあることが多いじゃないですか。

 

この人たちのせいで、「親を許さなきゃいけない」と思っている人があまりにも多いのですが、されたことが酷すぎたら許せるわけなんてないんですよ。

 

たとえ親であっても。

 

というか、そのカウンセラーたちに言いたいのは、「じゃあお前らが同じ目に遭ってみて、同じこと自分に言えんの?」ってことです。

 

どこまでいっても他人事だから、そんな適当なことが言えるんですよ。

 

前述した記事の最後で若井さんは「家族と縁を切ったからこその幸せがある」と話されていましたが、親との関係でずっと苦しんだり悩んだりしている人は「和解」じゃなくて、「距離をおく」か「絶縁」が必要なんですよね。

 

毒親という言葉では片付けられないぐらいの酷い親。

この間、「ザ・ノンフィクション」という番組を動画で見ていました。

 

ザ・ノンフィクションは「生きるということ」について教えてくれるすごく良い番組です。

 

その中で、印象に残りすぎていまだに頭から離れられない回が「人殺しの息子と呼ばれて・・・」。

 

あまりにも残虐すぎて報道規制がかかったほどの大事件である、北九州連続監禁殺人事件加害者の「息子」のインタビューで構成されている2部作です。

 

インタビューに答える息子さんは、現在24歳。

 

音声は編集なくそのまま使われているのですが、彼の過去を知らない人からすると、若いのに落ち着いた雰囲気で物事の分別をわきまえているしっかり者と映るかもしれません。

 

しかし、その裏には生きるためにたくましくならざるを得なかった地獄が存在するのです。

 

奥さんと2人で見ていたのですが、あまりの壮絶な過去に絶句するほどでした。

 

息子さんの気持ちやされてきたことを考えると、どこまで書いていいのか分からなくて思わずタイピングが止まってしまうのですが、この動画は親のことで今現在も悩んでいる方にとってはかならず響くものがあると思います。

 

番組後編で、母親が獄中から手紙を送っていることを息子さんが明かすんですね。

 

その手紙の内容も公開されていたんですよ。

 

「何もしてやれなくてごめんね」

「寒くなってきたから身体に気をつけてね」

「ちゃんとご飯食べるんだよ」

 

たしかこのような内容がつらつらと書かれていたと思います。

 

 

書いてあることって息子思いの母親でしかないですよね。

 

過去のことがなければ。

 

ここからは僕の見解になりますが、母親は事件のことや息子を虐待した事実を「なかったことにして」手紙を送ってきていたように感じました。

 

この番組は数十分の尺で、あくまでも息子さんに焦点を当てたものです。

 

なので、お母さんから送られてきた手紙に対する彼の心情を100%分かることはできないですし、母親もどういった気持ちを抱えているかは本人にしか分かりえないことです。

 

しかし、許せないぐらい酷いことをされたのにその件に一切触れず、「私はあなたのことを心配してますよ」的なメッセージを送られても、複雑な気持ちになることはあっても心に響くわけないですよね。

 

これは息子さんに限らず、前述した親に対してのモヤモヤが消えない人も同じではないでしょうか。

 

    • 毒親というわけではないし普通に話せる関係だけど、親に対してモヤモヤすることがある。
    • 昔はいろいろあったけど、今は良好な関係を築いている。でも親に対してモヤモヤすることがある。
    • 話しても分かってもらえないからもう諦めた。でもやっぱり親に対してモヤモヤすることがある。

 

なぜモヤモヤするかというと、親が子どもに言ったりしたりしたことを「なかったことにしているから」なんですよね。

 

なかったことにする親に、どう気持ちの折り合いをつければいいのか?

やることはただ一つ。

 

その当時、自分が言われたりされたりして傷ついたことを、親にちゃんと伝えることです。

 

何を言われて傷ついたのか、何をされて傷ついたのか、その気持ちをしっかりぶつけないといけないんですね。

 

実は、親がなかったことにする前に、子どもが「今さらこんなこと言いづらい」と思ってなかったことにしているケースはすごく多いんですよ。

 

この場合、子ども自らなかったことにしているので、現在も親に対してモヤモヤしている気持ちがあるなら、ちゃんと伝えないといけないんです。

 

「もう昔のことだから」とか「もうお互い大人だから」とかどうでもよくて、相手が親じゃなくても傷ついた自分が今もいるなら「時効は成立してない」んですよね。

 

つまり、どうしても気持ちを分かってほしいのであれば、自分からも親からも逃げないで立ち向かえってことです。

 

しかし、親にされたことが酷すぎる場合だと、ちゃんと伝えても次のような反応をされることがよくあります。

 

    • 覚えていない(もしくはフリをする)
    • ちゃんと取り合ってくれない
    • 逆ギレする
    • 反省しているフリをして媚びる
    • 事実をねじ曲げて隠蔽する

 

ちなみに「覚えていない」は結構よくあって、たとえるならいじめた方は覚えてないけど、いじめられた方は覚えているといったケースがこれに該当します。

 

言うまでもなく「覚えていないフリをする」のは、認めてしまうと親にとって都合が悪いからなかったことにしたいだけです。

 

あと、人間は自分の見たいように思いたいように現実を見る習性があるので、その場合は親の記憶が別のものとすり替わっていますね。

 

親が上記のような反応をしたとき、どのような態度を取られても「なかったことにされている」という事実は変わらないので、何度も何度もぶつかっていくことが必要になります。

 

つまり、親が毒すぎて手強いと一回こっきりぶつかっただけでは何も変わらないということです。

 

その中では、思いっきり逆ギレされて返り討ちになることもあるかもしれません。

 

ぶつかったことで余計に傷つく結果になる可能性もあります。

 

なので、ぶつかるときはこちらも覚悟して臨む必要がありますし、「伝え続けないと分かってもらえない」と腹をくくらないといけません。

 

しかし、何度もぶつかっているのに分かってもらえない場合。

 

この場合必要になることは、一旦「見切る」ことです。

 

「この人って何も変わってないし昔からこうだったんだな」と見切りをつけるのです。

 

見放す決心をするために、相手の本性が分かるまで向き合うということなんですね。

 

そこで、気持ちの折り合いがつくまで「距離を置く」か、「絶縁する」かはこちらが決めることになります。

 

若井おさむさんは、16年ぶりに再会した母親が何も反省していないことが分かったから、「今後会うことは絶対にない」と決意されたそうです。

 

前述したように、「人は話せば分かってくれる」は幻想。

 

対象が親に限らず、相手との関係の終着地点を「和解」に設定する人ほどこの幻想を信じているので、その結果、なかったことにされて上辺だけの中途半端な関係になっていることが多いです。

 

下記記事でお話したように、相手にぶつかるときはこちらも背水の陣で臨まないといけません。

 

傷ついて許せないことがあるのに、何を相手に気を遣っとるねんという話しです。

 

【参照記事】

 

もちろん和解できたらそれに越したことはないけれど、もし相手がこちらの気持ちを分かってくれなかったのだとしても、ちゃんとあるものを手に入れてるんですよ。

 

それは、「言いづらいことがあったけど、言えなかった相手にようやく言えた勇気と実績」です。

 

親に限らず、ぶつかりにくい相手に腹を決めてぶつかったとき、人はちゃんと前に進んでいます。

 

そして、許さないといけないのは、許せないことをした相手ではありません。

 

ずっと許せない気持ちを抱えていた自分自身に「もうええんやで?」と言ってあげることなんですよ。

 

そのためにも、あなたが親に傷つけられて許せないことがあるんだったら、気が済むまでちゃんとぶつかってください。

 

やり切らないと後悔することをお忘れなく。

 

 

【withonlineのコラムはこちら】

 

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